最低賃金
2021年7月10日
◆引き上げ路線復活させたい◆
2021年度の最低賃金改定の議論が政府の審議会で始まった。昨年度は新型コロナウイルスの感染拡大による企業業績の悪化で、目安額は事実上据え置かれたが、今回は菅政権が引き上げに積極姿勢を示している。一昨年まで続いた引き上げの流れを復活させたい。
安倍前政権は経済の好循環に向けて全国平均で最低賃金千円を目指す方針を掲げ、16年度から4年連続で年率3%超の引き上げを実現した。しかし、20年度はコロナ感染で景気が悪化する中、雇用維持の優先を理由に目安額の提示は見送られ、最低賃金は全国平均で前年度比1円増の902円にとどまった。
菅義偉首相は早くから最低賃金の引き上げに強い意欲を表明してきた。昨年9月の就任直後に最低賃金の引き上げに取り組むと明言し、今年6月に決定した経済財政運営の指針「骨太方針」にも「最低賃金の引き上げで早期に全国平均千円を目指す」と明記した。
これに対して日本商工会議所など中小企業の経営団体は警戒感を強める。中小企業はコロナ禍で苦境が続き、特に飲食、宿泊業などは最低賃金水準で従業員を雇用しているケースが多く、雇用調整や経営破綻につながる懸念があるとしている。
焦点は、コロナ禍による経営の先行きに及ぼす影響だ。確かに景気の現状は厳しく、国内総生産(GDP)は1~3月期に続き4~6月期もマイナス成長に陥る可能性がある。しかし、ワクチン接種が進めば、秋ごろには経済活動正常化の展望が開けてくるとの見方が多い。
世界経済は21年に年率6%程度の成長が予想されている。特に米国は大規模な財政出動の効果により7・0%の高成長でコロナ前の水準を回復する見通しだ。外需の追い風も受け、21年度下半期は日本経済の本格回復が期待できる。10月から最低賃金の引き上げができる条件は整いつつあるとみてよいだろう。
そもそも日本の最低賃金は先進国の中で例外的に低く、改善は長年の懸案だ。しかも、コロナ禍の中でも、欧米諸国では20~21年に最低賃金を引き上げた国が多い。「日本の最低賃金は先進国の中で置いてきぼり」(神津里季生連合会長)である。今年は再び中長期的な引き上げ路線にかじを切るべきだ。
ただし、最低賃金の引き上げは、適正な上げ幅であっても、雇用コストの増加で中小企業の経営を圧迫する。継続的な引き上げのためには、コスト増を吸収できる生産性向上や、価格転嫁しやすい仕組みが不可欠だ。政府には中小企業に対する支援や、大企業との取引条件の適正化などきめ細かい環境整備を求めたい。
2021年度の最低賃金改定の議論が政府の審議会で始まった。昨年度は新型コロナウイルスの感染拡大による企業業績の悪化で、目安額は事実上据え置かれたが、今回は菅政権が引き上げに積極姿勢を示している。一昨年まで続いた引き上げの流れを復活させたい。
安倍前政権は経済の好循環に向けて全国平均で最低賃金千円を目指す方針を掲げ、16年度から4年連続で年率3%超の引き上げを実現した。しかし、20年度はコロナ感染で景気が悪化する中、雇用維持の優先を理由に目安額の提示は見送られ、最低賃金は全国平均で前年度比1円増の902円にとどまった。
菅義偉首相は早くから最低賃金の引き上げに強い意欲を表明してきた。昨年9月の就任直後に最低賃金の引き上げに取り組むと明言し、今年6月に決定した経済財政運営の指針「骨太方針」にも「最低賃金の引き上げで早期に全国平均千円を目指す」と明記した。
これに対して日本商工会議所など中小企業の経営団体は警戒感を強める。中小企業はコロナ禍で苦境が続き、特に飲食、宿泊業などは最低賃金水準で従業員を雇用しているケースが多く、雇用調整や経営破綻につながる懸念があるとしている。
焦点は、コロナ禍による経営の先行きに及ぼす影響だ。確かに景気の現状は厳しく、国内総生産(GDP)は1~3月期に続き4~6月期もマイナス成長に陥る可能性がある。しかし、ワクチン接種が進めば、秋ごろには経済活動正常化の展望が開けてくるとの見方が多い。
世界経済は21年に年率6%程度の成長が予想されている。特に米国は大規模な財政出動の効果により7・0%の高成長でコロナ前の水準を回復する見通しだ。外需の追い風も受け、21年度下半期は日本経済の本格回復が期待できる。10月から最低賃金の引き上げができる条件は整いつつあるとみてよいだろう。
そもそも日本の最低賃金は先進国の中で例外的に低く、改善は長年の懸案だ。しかも、コロナ禍の中でも、欧米諸国では20~21年に最低賃金を引き上げた国が多い。「日本の最低賃金は先進国の中で置いてきぼり」(神津里季生連合会長)である。今年は再び中長期的な引き上げ路線にかじを切るべきだ。
ただし、最低賃金の引き上げは、適正な上げ幅であっても、雇用コストの増加で中小企業の経営を圧迫する。継続的な引き上げのためには、コスト増を吸収できる生産性向上や、価格転嫁しやすい仕組みが不可欠だ。政府には中小企業に対する支援や、大企業との取引条件の適正化などきめ細かい環境整備を求めたい。
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