決定から実施までの流れ
- 厚生労働大臣が中央最低賃金審議会に引き上げ額を諮問
- 中央審議会で労働者側・使用者側・公益委員が審議
- 全国をA・B・Cランクに分けて引き上げ額の「目安」を提示
- 47都道府県の地方最低賃金審議会が、それぞれ地域の実情を調査
- 各地方審議会が正式な引き上げ額を答申
- 労働者側・使用者側からの異議申出を受け付ける
- 都道府県労働局長が正式に決定・公示
- 公示から原則30日後に新しい最低賃金が発効
つまり、中央審議会で目安が決まっても、すぐには実施できません。
なぜ何度も審議するのでしょうか
最低賃金法では、次の3点を考慮して金額を決めることになっています。
- 労働者の生計費
- 地域の一般的な賃金水準
- 企業の賃金支払能力
労働者側は、物価上昇に見合う大幅な引き上げを求めます。一方、使用者側、とくに中小企業は、人件費の急増による経営悪化や雇用削減を心配します。
この両者の意見が大きく異なるため、話し合いに時間がかかります。
法律上、短縮できない期間もあります
地方最低賃金審議会が答申した後、労働者や使用者は公示から15日以内に異議を申し出ることができます。この期間中は、労働局長が正式決定できません。
さらに、決定を公示してから実際に効力が発生するまで、原則として30日間必要です。これは企業が給与計算や雇用契約、商品価格などを変更する準備期間でもあります。最低賃金法第11条・第14条
今回の54~56円は確定額ではありません
令和8年度の目安は次のとおりです。
| ランク | 引き上げ目安 |
|---|---|
| Aランク | 54円 |
| Bランク | 56円 |
| Cランク | 56円 |
山梨県はBランクなので、目安は56円です。ただし、地方審議会の判断によって、56円を上回ることも下回ることもあります。
正式な金額と適用開始日は、山梨地方最低賃金審議会の答申を経て、山梨労働局長が決定します。厚生労働省・令和8年度の答申
Aランクのほうが低い理由
東京や大阪などのAランクが54円、比較的最低賃金の低いB・Cランクが56円なのは、地域間格差を少し縮める意図があると考えられます。
同じ56円でも、現在の最低賃金が低い県ほど引き上げ率は高くなります。ただし、差はわずか2円なので、地域格差が急速に解消するわけではありません。
結論
時間がかかる理由は、地域ごとの事情を調査し、労働者と企業の双方の意見を聞いたうえで、異議申出や周知期間を設けているからです。
慎重な手続きは必要ですが、物価が先に上昇している状況では、労働者にとって「生活が苦しいのに賃上げが追いつかない」という問題もあります。今回、全国加重平均が1,176円になったとしても、政府が掲げる全国平均1,500円との間にはまだ324円の差があり、今のペースでは到達まで数年かかる可能性があります。

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